トイレでおしっこする

次の日の朝、目が覚めた。

「おしっこ、行きたい」

朝起きると、おしっこに行きたかったので、トイレに走った。トイレに座ると、おしっこが出て、ホッと、スッキリした。いや、実際には、トイレにおしっこは出ていない。身体の中にクダが通っていて、そのクダを通って、外のおしっこの袋の中に、おしっこは出ていたのだった。

それなのに、おしっこに行きたくなると、どうしてもトイレに行ってしまうのだ。

「そうか、おしっこは、どうせ袋に出ているんだよな」

トイレに行った後で、そのことに気づかされてしまうのだった。

「とりあえず、朝ごはんだ」

朝ごはんをしっかり食べないと、食後の薬が飲めない。朝の食事の準備をして、朝ごはんを食べた。朝ごはんを食べることで、朝の食後となって、食後のユリーフの薬を飲めるのだった。

「え、もうこんな時間か」

記事を書くのに集中していたせいか、一つの記事を書き終わったとき、気づいたら既に時間は12時半をとっくに過ぎて、1時過ぎになっていた。

「行ってきます」

私は、朝ごはんを食べ終えると、会社に出かけた。会社に行く電車の中で、なんかもぞもぞして変な感じだった。おしっこがしたいというほどではないのだけど、なんかもぞもぞするのだった。おそらく、おしっこが少し外に出ているのではないだろうか、そんな感じだった。

おもらし?

いや、おもらしでは無かった。おしっこは、外に出たところで、クダを通って、ちゃんとおしっこ袋の中に出ているだけなのだ。

おしっこは、勝手にクダを通って、袋の中に落ちてしまうのだ。トイレに行きたいとか、全く気にする必要などないのだ。

「なんだか便利だな」

電車の中で、そう思った。

本当ならば、電車の中で、おしっこがしたくなったら、どこか途中の駅で1回電車を降りて、トイレを探さなければならないはずだ。それが、トイレを探す必要もない。電車だって、途中の降りたくもない駅で降りなくたっていいのだ。おしっこは、したくなれば、勝手に百均のバッグの中に入っている袋の中に出てくれるのだ。こんな便利なことはない。

「あ、トイレ行ってこなきゃ」

電車の中では、こんな便利なことはない、と思っていたのに、午後になると、やっぱりおしっこがしたくなると、なんだかもぞもぞし出して、普通にトイレに行ってしまって、トイレで用を済ませてしまうのだった。

おしっこは袋へと勝手に出て行ってしまうのだ。

そうはわかっていても、どうしても、もぞもぞし出してトイレに行ってしまう。なんでだろうか。

「いただきます」

夜、家に帰ってきて、夜ごはんの準備をすると、その夜ごはんを食べる。もちろん、会社から帰ってくると、病院での決められた規則正しい食事の時間の夜6時半は、もうとっくの昔に過ぎてしまっている。仕方ないではないか。

「ごちそうさま」

夜ごはんの食事が終わると、待ってましたとばかりに、さっそく夜のユリーフの薬、1錠を水で飲んだ。今の私にとっては、夜ごはんの食事が楽しみというよりも、夜の食事の後のユリーフのお薬のために、夜ごはんを食べているようなものだった。

毎朝と毎晩、ちゃんと食後には、ユリーフのお薬を1錠ずつ飲まなければ、前立腺はちっとも小さくならず、いつまでもおしっこの袋をぶら下げ続けなければならなくなってしまうのだ。

なんとなく私の日々の生活すべてが、おしっこの袋とともにあるようになってしまっていた。また、いつかおしっこの袋が無い生活に戻ることは出来るのだろうか。

夜の食事が終わって、夜の分のお薬も飲み終わった。いまの時刻は、何時だろう。時計の時刻を見ると、まだ夜の9時前だった。普段ならさすがに、まだ眠るには早い時刻だった。いつものように、テレビのドラマでも視ながら、パソコンでブログでも書くか。

だが、なんとなくパソコンを立ち上げて、ブログを書こうという気にもなれなかった。それでは、テレビでもつけて、ドラマでも視るか。テレビのリモコンを操作して、テレビをつけた。

いつも毎週、楽しみにしているテレビの連続ドラマ、連ドラが始まっていた。いつものように、目はテレビの連続ドラマの画面を眺めているのだが、いつものようには、ドラマに集中できない。

「なんとなく、今期の、このドラマは、あまり面白くないものな」

ドラマに集中して視れないことを、ドラマの内容のせいにしてしまっていたが、実は、おしっこの袋が自分の側にくっついて、ぶら下がっているのが気になって、ドラマに集中して視ていられないのだった。

「もう寝るかな」

時刻は夜10時前だった。病院で入院していたら、とっくに消灯時間で寝ているはずの時間だった。いつもの、普段通りの生活だったら、ぜんぜん寝るには早すぎる時間なのだが、なんとなく眠気もあるし、もう眠りたい時間だった。

「そうだよ、私は病人なんだよ」

私は、Sカンにぶら下がったおしっこの袋を見ながら、自分に言い聞かせた。そして、まだ途中のテレビの連続ドラマのスイッチを切って、ベッドに入ってしまった。

どうしてもトイレでおしっこしてしまうにつづく


トイレでおしっこする
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