あと1週間

次の日の朝、目が覚めた。

「ごはんです」

朝ごはんを食べて、食後のユリーフのお薬を飲む。

「トイレ行ってこよう」

また、この日も、どうせ、おしっこ袋に直接、おしっこは出ているのだから、全く意味のないトイレに行って、便座に腰かける。

「あと1週間か」

便座に腰かけながら、考え事をしていると、急にそのことに気づかせられた。そう、あと1週間なのだ。気づけば、おしっこの袋を病院で取り付けられてから、もう1週間が過ぎてしまっている。

残り1週間しかないのだ。

病院を退院してからも、なんとなく、どこへ行くのにも、犬の散歩のように、自分の身体から飛び出ているクダがくっついていて、その先には、おしっこの袋がぶら下がっている。なんとなく、身体が怠い。なんだか、やる気も出て来ない。表を歩いているときも、のらりのらりと、周りの人たちよりも歩くスピードが落ちてしまう。

「自分は、病人なのだから仕方ないさ」

周りのほかの人たちが、自分のことを追い抜いて、どんどん先へ歩いていってしまう姿を眺めながらも、私は、のんびり、だらだら歩いてしまっていた。

「もう夜も遅いし、いっしょに寝ようか」

夜だって、夜の9時を過ぎると、愛猫の顔を見つめながら、そうつぶやいて、パジャマに着替え、部屋の明かりを消して、布団の中に入ってしまう。すると、それを見た愛猫が、布団の上に上がってきて、布団の上、ちょうど私のお腹の上辺りで、一緒になって目をつぶって丸くなって寝てしまっていた。夜9時過ぎに寝てしまうなんて、大人としては、ぜんぜん早すぎるというのは、わかっていた。しかし、

「私は病人なのだ。病院で入院していれば、夜9時は消灯で、皆寝る時間だ。ぜんぜんおかしくない」

私は、自分にそう言い聞かせて、眠ってしまっていた。

要は、ぜんぜんやる気の出ない生活だった。

「頑張らなきゃいけないな」

私は、退院してからの1週間を反省した。というよりも、あと1週間しかないのだ。それまでに、本当にあと1週間で、おしっこ袋を外したら、ちゃんと、おしっこが出るようになるのだろうかという心配、不安の方が大きかった。

「なんか、もっとユリーフを飲みたいな。朝と晩の食後だけでなく、朝と晩、それに昼の食後にも、ユリーフの薬を飲んだら、もっと、おしっこが出るようになるのだろうか?」

私は、そう思うのであった。

あと1週間というのは、どういうことなのかと言うと、病院で入院しているとき、泌尿器科の先生に会ったときに、おしっこの袋をぶら下げたまま、退院しましょうと言われた。

そして、あとは外来で、処方したお薬を飲みながら、おしっこが出るように治していきましょうと言われたのだ。その外来で、おしっこが出るかどうかの確認するのが、2週間毎だったのだ。

「次は、2週間後の木曜日に、病院に来て下さい」

そう泌尿器科の先生に言われていたのだった。

「2週間後の木曜日、時間はどうしますか?」

「それでは、朝一番で診てほしいです」

私は、そのとき泌尿器科の先生にそう答えて、2週間後の木曜、朝9時に次の診察の予約を入れてもらっていたのだった。

「来週の木曜日か」

私は、つぶやいた。私は病人だ、私は病人だと、だらだらと過ごしているうちに、1週間があっという間に過ぎてしまい、次の診察日まであと1週間に迫っていたのだった。

「おしっこ出るようになっているのかな?」

おしっこの袋と自分の身体を結んでいるクダを眺めながら、私は思った。毎日、欠かさず朝と晩の食後には、ユリーフの薬を1錠ずつ飲んでいた。ちゃんと薬だって飲んでいるのだし、ぜったいに、おしっこは出るようになっているはずだ。私は、そう信じていた。

「ごちそうさまでした」

そして、その日の夕食を食べ終わると私は、またここ最近のいつものように、ユリーフのお薬を1錠、お水で飲むのであった。

ぐうたらのトイレにつづく


あと1週間
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