どうしてもトイレでおしっこしてしまう

次の日の朝、目が覚めた。

「トイレに行きたい」

夜中は、ずっと寝ていたわけだが、おしっこは寝ている間も、クダを通って、身体の外に出て、おしっこの袋の中に入っているので、朝起きても、トイレなど行く必要などないのだった。

だけど、どうしても、身体は、おしっこをしたい気になってしまって、トイレに座らなければ満足できないのだった。

「食後は、ユリーフを飲まなくては」

朝ごはんを食べ終わると、私はコップに水道水を汲んで、ユリーフのお薬を1錠を飲んだ。

そして、おしっこの袋を大きめのプラスチックで出来たエスカンでぶら下げ、エスカンの袋がぶら下がっていない側を、腕に引っかけて、そのまま部屋の中を移動しながら過ごした。

身体の中に、クダを通して、おしっこの袋をぶら下げてから、そろそろもう1週間ぐらい経つというのに、未だに、おしっこの袋に慣れない。いや、おしっこの袋には慣れたというよりも、エスカンに引っかけてぶら下げて持っているだけなので、どうということはなかった。問題は、身体の中を通っているクダの方だ。クダが身体に通っていることに、どうしても慣れないのだ。

「なんか、へんな感じがするな」

身体の中を、クダが通っているからといって特に何か痛みがあるわけではなかった。痛みは、ぜんぜん無いのだが、なんかクダが通っているのが変な感じなのだ。ちょうど身体の下半身、尿道のある辺りの上のほう、下半身のすぐ真上の、自分の肉体の何もない空間というか、空気のある場所、なんか尿道のすぐ上辺りがかゆいというか、ともかく変な感じなのだ。

もちろん、身体の上、自分の肉体がなにもない空間なので、そんなところを指で掻いてみたところで、掻けるわけでもない。掻いたところで、その辺りにあるはずの目に見えない空気が少しかき乱されるだけだ。

「なんか、かゆっぽい」

尿道の上辺りの、なにも自分の肉体がない空気中がかゆいのだ。

「早く、このおしっこの袋外したいな」

私は、その辺りが、かゆい感じになる度に、そう思うのだった。そして、おしっこの袋が早く外せるように、しっかり前立腺が小さくなるようにと、病院で処方されたユリーフのお薬が入った袋を見つめてしまうのだった。

もちろん、ユリーフの薬を眺めたからといって、朝と晩の食後しか飲めないユリーフを、そのほかの時間に飲めるわけもないし、時間外に多く飲んだからといって、前立腺が余計に小さくなるとも思えなかったが、1時間おきに、どんどん飲み続けたくなるのだった。

そして、またトイレに行き、便座に座って、クダを伝って、外のおしっこの袋の中に、おしっこを出すのであった。

「おしっこ流すか」

私は、どうせ、おしっこの袋に直接、おしっこは出るのだから意味はないのだが、いちいちトイレに行ってから、おしっこをした後で、立ち上がって、腕にぶら下げているおしっこの袋を持って、その袋の手前に付いた蛇口を開けて、そこから中に貯まっているおしっこをトイレの中に流すのだった。

夜ごはんの時間だ。

「いただきます」

その日の夜ごはんを食べ終わると、夜の分のユリーフのお薬を飲んだ。

あと1週間につづく


どうしてもトイレでおしっこしてしまう
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