岡村孝子さんが診断を受けた急性白血病

シンガー・ソングライターの岡村孝子さん(57)が「急性白血病」と診断されたことを、所属事務所が22日、明らかにした。白血病はどのような病気だろうか。

がん化した白血病細胞が増えていく

血液中には、酸素を全身に運ぶ赤血球、病原体と闘う白血球、出血を止める血小板など様々な細胞が流れている。これらの細胞は、元となる幹細胞が骨の中で増殖、変化して生まれる。だが、生まれる過程のどこかで異常が起き、がん化した細胞(白血病細胞)が無限に増えるのが白血病だ。発病の詳しい原因は分かっていない。

厚生労働省が2019年1月に公表した全国調査では、16年に白血病と診断された人は延べ1万3789人だった。

「急性」は週単位~月単位で進行

白血病は、週単位~月単位で速く進行する「急性」と、年単位でゆっくり進行する「慢性」とに区分けされる。岡村さんが今回、診断を受けたのは急性だ。また、異常が起きる細胞の種類によっても「骨髄性」と「リンパ性」とに分けられる。

急性の白血病では、息切れ、だるさ、関節の痛み、発熱などの症状が出る。増えた白血病細胞が、正常な血液細胞ができるのを妨げたり、他の臓器を傷つけたりするほか、白血球の減少によって体に感染が起きるためだ。一方、慢性の白血病の場合、初期ではほとんど症状がないが、進行するとだるさや寝汗などが表れる。

抗がん剤の使用が主流

いずれも治療法は、抗がん剤の使用が主流となっている。

急性では、数か月間の入院で、点滴の治療によって白血病細胞を顕微鏡で見ても分からない水準まで減らすことで治癒を目指す。白血病の種類によっては、その後も数年間、通院による治療を続けることもある。

再発した場合や抗がん剤が十分に効かない場合などは、血液細胞のもとになる幹細胞の移植が検討される。幹細胞は骨髄の中や、赤ちゃんのへその緒と胎盤に含まれるさい帯血などから採ったものを使用する。

慢性では、服薬を長期間続ける治療となるケースが多く、治療しながら日常生活に戻ることも可能だ。慢性の骨髄性白血病は、かつて移植以外に治療が難しかったが、2000年代に新薬「グリベック」(一般名・イマチニブ)が登場し、服用を続けることで白血病細胞が検査で見つからない状態を維持できるようになった。

池江選手も白血病で闘病

競泳女子の池江璃花子選手(18)も19年2月に白血病と診断されたことを公表し、闘病生活を送っている。(ヨミドクター)

白血病の新たな免疫療法「CAR―T」、厚労省部会が製造販売を了承

患者自身の免疫細胞を遺伝子操作してがん細胞への攻撃力を高め、体内に戻す「 CAR―Tカーティー 療法」と呼ばれる新しい免疫療法について、厚生労働省の専門部会は20日、再生医療製品として製造販売することを了承した。厚労相が年度内にも正式承認する見通しだ。一部の白血病患者などが対象となる。米国では価格が5000万円を超えており、日本での価格にも注目が集まっている。

了承されたのは、製薬大手ノバルティスファーマの「キムリア」。「B細胞性急性リンパ芽球性白血病」(25歳以下)と「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」のうち、再発や難治性の患者が対象となる。対象患者数は合わせて年間約250人と見込まれている。

CAR―T療法は、体内から取り出した免疫細胞の一種「T細胞」を遺伝子操作し、がん細胞を何度も攻撃できるように改変する。患者から細胞を取り出してから体内に戻すまで50日程度かかる。治療は1回の点滴で済む。

厚労省によると、米国や日本などで行われた臨床試験(治験)で、白血病では75人中61人に、リンパ腫では81人中43人に効果があった。一方で、過剰な免疫反応による発熱や吐き気、呼吸困難などの副作用も高い割合で起きた。

遺伝子操作や細胞の培養にコストがかかるため、治療費が高額になることも課題となっている。ノバ社によると、米国では白血病に使うと47万5000ドル(約5300万円)かかり、治療から1か月後に効果が認められた場合にだけ、患者に支払いを求める方式が導入されている。

山口大の玉田耕治教授(免疫学)は「遺伝子操作した免疫細胞を、実際の治療に使う大きな一歩になる。ほかのがんに使う研究も進んでおり、今後は、がん免疫療法の柱の一つになるだろう」と話している。



岡村孝子さんが診断を受けた急性白血病
※こちらの特集記事をスマホでゆっくり読む